避妊

我慢汁(カウパー腺液)でも妊娠する?精子との違いや対処方法を解説

「我慢汁でも妊娠することはある?」

「膣内で射精しなければ妊娠しないって本当?」

こんな疑問を抱いている方は多いでしょう。「我慢汁では妊娠しないから大丈夫」という情報を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

無意識に男性器から分泌される我慢汁(カウパー腺液)には精子が含まれていることがあるため、妊娠する可能性は十分にあります。そこでこの記事では、なぜ我慢汁(カウパー腺液)でも妊娠する可能性があるのか詳しく解説していきます。

後半には妊娠したくない場合に効果的な避妊方法も解説していきますので、我慢汁や避妊方法について詳しく知りたい方はぜひ参考になさってください。

我慢汁(カウパー腺液)とは

我慢汁(カウパー腺液)とは、男性が性的興奮を感じた時や射精前に男性器のカウパー線(尿道球腺)から分泌される粘り気のある透明な液体のことです。臭いはなく無色で、ほのかな塩味がします。

性行為中、我慢汁が多すぎてコンドームが外れてしまったという経験をした方もいるのではないでしょうか。我慢汁の分泌量は人によって異なりますが、性的興奮度が高ければ高いほど、また勃起時間が長ければ長いほど分泌量は多くなるというのが一般的です。

我慢汁は性的興奮を伴う場合にのみ分泌される液体で、興奮していれば勃起していなくても分泌されることがあります。ではなぜ、性的興奮を感じると我慢汁が分泌されるのでしょうか。

我慢汁はその特性から、以下のような役割を担っていると考えられています。

  • 女性の膣内を弱酸性から精子が活動できるアルカリ性に変化させて妊娠しやすくする
  • 男性器を挿入しやすくする

女性の膣には、自浄作用という機能が備わっています。膣の自浄作用とは、外部から入り込んできた菌などの繁殖を阻止するため内部の環境を弱酸性に保つ機能です。この自浄作用によって、弱酸性に保たれた膣は菌だけでなく精子にも大きなダメージを与えます

弱酸性に保たれた環境下では、精子は生きていくことができません。そのため精子が膣内で活動できるよう、精子が入ってくる前に我慢汁で膣内の環境を弱酸性からアルカリ性に変化させる必要があります。

また挿入時に男性器と膣の粘膜に摩擦抵抗が生じると膣内射精がスムーズに行われなくなるため、膣内を潤して挿入を手助けするのも我慢汁の役割の一つです。

このように、我慢汁は妊娠が成立しやすいよう手助けするという重要な役割を担っています。

精子との違い

我慢汁も精子も性的興奮によって分泌される液体ですが、両者は見た目も成分も、またその役割も全く異なります。我慢汁と精液の違いは、以下の通りです。

項目 我慢汁(カウパー腺液) 精液
外見 無色透明 粘り気があり乳白色と透明が混ざったような色
臭い・味 無臭・かすかな塩味 漂白剤のような臭い・塩味・苦み・甘味
成分・性質 カウパー腺液(尿道球腺液)・弱アルカリ性 精漿(液体成分)と精子(細胞成分)
役割 DNAデータを卵子に届けて妊娠を成立させる 膣内の環境を精子が活動しやすい環境に整える・挿入時の摩擦抵抗を軽減させて精子の排出を促す

我慢汁はカウパー腺(尿道球腺)という場所から分泌される液体で、弱アルカリ性で乾燥しやすい性質を持ちます。乾燥すると艶のある白色の物質に変化するため、男性の中には下着に付着した我慢汁が目立って気になったという経験をした方も多いでしょう。

一方、精子は液体成分である精漿と細胞成分である精子で構成される液体です。精液は前立腺から分泌される前立腺液と精嚢から分泌される精嚢分泌液が約3:7の割合で混合した液体の中に精子が懸濁※しているもので、排出された精子が膣内に留まっていられるよう強い粘性を持っています

※懸濁とは・・液体の中に個体粒子が分散すること

ただ、この精液の粘性は射精後しばらくすると(大体10~20分程度)失われるものです。女性の中には、避妊なしの性交渉の後膣から水が出てきたという経験がある方もいるでしょう。これは、時間が経過して精子の粘性がなくなり水のような状態になったことで起こる現象です。

我慢汁で妊娠する可能性がある理由2つ

我慢汁で妊娠する可能性があるのかどうか、気になる方は多いでしょう。結論から言うと、我慢汁で妊娠する可能性はゼロではありません。その理由としては、以下の2つが挙げられます。

  • 精子が排出される過程で尿道に漏れ出てしまうことがある
  • 膣外射精は失敗する確率が高い

実は我慢汁単体には精子は含まれていません。したがって我慢汁だけが膣内に入り込んだ場合は妊娠することはないのです。しかし実際、我慢汁には精子が混入していることがあります。これは、精巣で作られた精子が射精前に尿道へと漏れ出てしまうことが原因です。

また我慢汁による妊娠を心配するケースでは性交渉時の避妊手段として膣外射精を行っていることが想定されますが、膣外射精の避妊失敗率は想像以上に高いことで知られています。

科学誌のサイエンティフィックアメリカンでは膣外射精を完璧に行った場合の避妊失敗率は4%と低いものの、実際には完璧に膣外射精を行えるケースはめったにないと断言しています。

一方一般的な方法で膣外射精を行った場合の避妊失敗率は20~30%と高く、同誌でも現代の避妊手段として膣外射精を選択することは推奨してません。膣外射精の避妊失敗率がこれほどまでに高いのには、以下の要因が挙げられます。

  • 多くの男性は射精のタイミングを自覚できない
  • 射精の初めに出てきた精液が最も濃度が高い

これらの要因から男性が完璧に膣外射精を行うことはほぼ不可能であるといえます。

参考:SCIENTIFIC AMERICAN 「Can You Prevent Pregnancy with the Pullout Method?」

我慢汁は我慢できない

我慢汁は本人の意思とは関係なく、無意識に出てしまうものです。そのため意図的に出したり我慢したりすることはできません。我慢汁は男性が性的興奮を感じると分泌されますが、分泌量や分泌の持続時間は個人によって異なります

中には我慢汁の分泌量が多すぎてコンドームが外れてしまい避妊に失敗したというケースもあるため、我慢汁の分泌量が多い男性と性交渉を行う場合にはコンドームだけでなくピルなどのほかの避妊方法も併用するのが望ましいでしょう。

我慢汁にも精子が含まれている可能性がある

前項でも触れたとおり、我慢汁自体には精子は含まれていません。しかし実際、我慢汁にはたびたび精子が混入することがあります。一体なぜ精子は我慢汁に混入してしまうのでしょうか。

実は、これには精子が作られる場所と射精によって精子が外に排出される過程が関係しています。精子は精巣で作られると、射精に向けて前立腺の末端部分にある精管膨大部という場所に貯蓄されます。

出典:Medical Note 男性不妊の原因。年齢や喫煙との関係性とは?

精管膨大部で蓄えられている精子は射精前にたびたび尿道の方に漏れ出てしまうことがあり、これによって我慢汁の中に精子が混じってしまうのです。我慢汁の中に混入した精子がたった一匹だけであっても、それが膣内に入り込めば妊娠する可能性があります。

望まない妊娠をしないための対処方法

我慢汁だけでも妊娠する可能性があるため、膣外射精は避妊手段としては不十分です。望まない妊娠を防ぐためには、適正な避妊手段を取る必要があります。

コンドームを正しいタイミングでつけること

性感染症は我慢汁からでも感染する可能性があるため、コンドームは避妊だけでなく我慢汁による性病予防の観点からも有効です。クラミジアや梅毒、淋菌感染症などの性感染症は、我慢汁によって移る可能性があります。また我慢汁に精液が混入している場合、HIVに感染する可能性も否定できません。これらの性感染症を防ぐためにも、性交渉の際にはコンドームを正しいタイミングでつけるようにしましょう。

コンドームをつけるタイミングは、挿入前が鉄則です。定期的に射精を行っている場合には前回の精子が性器内にまだ残っている可能性があり、挿入した後につけるのでは全く意味をなしません。ただだからといって勃起がまだ完全でない性器につけるとコンドームが外れてしまうため、注意が必要です。

射精後はすぐに縮小する男性器の根元を手で押さえ、コンドームが外れないよう素早く膣から抜きましょう。射精後もそのまま挿入を続けるとコンドームの中の精液が逆流して膣内に入り込んでしまう恐れがあるため、余韻に浸りたい気持ちは抑えてすぐに膣から抜くことが大切です。

コンドームは最も多く利用されている避妊手段ではありますが、実は意外と避妊失敗率が高く、コンドームを一般的な使用方法で利用した場合の避妊失敗率は3~18%程度といわれています。一方推奨される使用方法を完璧に行った場合の避妊失敗率は2%程度とされていて、これは日常生活においてコンドームを完璧に使いこなすことがどれだけ難しいことかを表す結果といえるでしょう。

低用量ピルを服用する

低用量ピル(経口避妊薬)は、女性側が服用することで非常に高い確率で妊娠を防ぐことができる薬です。定期的に低用量ピルの服用を続けた場合、その避妊率は99%以上にも及びます。

低用量ピルの作用はピルによってエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを取り入れ、この2つのホルモン量をコントロールすることで女性の体内を妊娠中と同じような状態に変化させるというものです。

そのため、低用量ピルを服用している間は生理は起こりません。低用量ピルは服用している間はほぼ確実に避妊ができるため、女性主体で行うことができる避妊手段としては最も効果的な方法の一つといえます。

低用量ピルについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になさってください。

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避妊に失敗したらアフターピル

 

コンドームが外れてしまった、我慢汁が膣に付着してしまったなどのトラブルがあった場合には、そのまま放置せずに病院を受診してアフターピル(緊急避妊薬)を処方してもらいましょう

アフターピルは、避妊に失敗した恐れがある性交渉から72時間以内(ピルの種類によっては120時間以内でも可)に服用することで97%以上の確率で妊娠を防ぐことができます。来院することに抵抗があったりその時間を取ることが難しかったりする場合には、オンライン診療を活用するのがおすすめです。

オンライン診療であれば、自宅にいながら医師の診察を受けることができます。アフターピルはオンライン診療による処方が可能で薬は最短翌日配送にも対応していますので、アフターピルの服用を希望する場合はぜひオンライン診療をご活用ください。

おすすめはコンドームとピルの併用

性交渉の際には、コンドーム+低用量ピルを併用するのがおすすめです。避妊対策なら低用量ピルで十分なのではと思いがちですが、低用量ピルだけでは性感染症予防はできません。

前述の通り性感染症は精液だけでなく、我慢汁からでも移る可能性があります。性感染症予防にはコンドームが必須ですので、性交渉を行う際はコンドームと低用量ピルを併用し性感染症+避妊対策を徹底しましょう

低用量ピル、アフターピルは通販でも購入することができますが粗悪品が紛れ込んでいる可能性があるため、通販での購入は大きな危険を伴います。安全に低用量ピル、アフターピルを服用するためには、医師の診察の上薬の処方を受けることが一番です。