中絶手術が終わると、いったん気が抜けてしまいそうですが、術後の過ごし方も重要なポイントになります。術後の過ごし方次第では、身体の回復が遅くなったり、感染症にかかりやすくなったりするので、注意が必要です。
この記事では、中絶手術後の症状や、気をつけるべきことを紹介しています。術後に気をつけることを事前に知り、難しい項目があった場合は医師へ相談しておきましょう。
目次
中絶手術後の症状
中絶手術後に、よくある症状をご紹介します。このような症状があっても異常ではないことがほとんどですが、症状がひどい場合は中絶を行なった病院へ連絡しましょう。
- 1〜2週間程度出血が続く
- 生理痛のような痛みがある
- 精神的に不安定になる
中絶の後には、生理のような出血があります。出血の量や期間には個人差があることに加え、中絶のタイミングによっても差が出ます。異常な量の出血がある場合や、出血が1ヶ月以上止まらない場合などは、中絶を行なった病院へ連絡しましょう。
子宮が元の大きさに戻ろうとするために、生理痛のような痛みが発生します。我慢できない場合は、生理痛と同じように痛み止めを併用します。生理痛とは違うような激しい痛みを感じる場合は、中絶を行なった病院へ連絡しましょう。
中絶を行なった後は、ホルモンバランスを人工的に乱しているために、精神的に不安定になりやすいです。数ヶ月経つと、ホルモンバランスは徐々に落ち着いてきます。
また中絶を行なったことで、「死なせてしまった」という思いから精神的なストレスを感じ、精神的に不安定になることも多いです。つわりやお腹のふくらみを感じていて、お腹の中で成長している実感があればあるほど、精神的なストレスを抱えやすいです。中絶をきっかけにパートナーとの関係が悪化した場合や、周囲から中絶したことを責められた場合は、さらにストレスを抱えやすくなります。
長い場合は、年単位でストレスを抱えることもあります。精神的なストレスを長期間感じている場合は、カウンセリングを受けたり、心療内科に通ったりすることも検討しましょう。
中絶手術後気をつけること
中絶手術後に気をつけるべきことを、6つ紹介します。以下に紹介することのうち、仕事や学校の都合上どうしても難しいことがある場合は、事前に医師へ相談しましょう。
2〜3日程度は安静にする
中絶手術を受けた後は、最低でも2〜3日間は安静に過ごしましょう。
初期中絶(妊娠12週未満)の場合は、日帰り手術を行うので、翌日から社会復帰も可能です。しかし身体のことを考えると、数日間は仕事や学校を休んで、安静に過ごすことをおすすめします。
中期中絶(妊娠12週〜22週未満)は、身体に大きな負担をかけています。病院を退院した後も、数日間は安静に過ごしましょう。
入浴を避ける
感染症対策のために、1週間程度はシャワーで済ませて、入浴は避けましょう。1週間後から入浴が可能ですが、術後の検診で異常がないことを確認してから、入浴の許可が出る場合が多いです。
サウナ・温泉・プールは、1ヶ月程度避けましょう。
飲酒を避ける
痛みや出血がなくなり、子宮が元の状態に戻るまでは飲酒を避けましょう。痛みがある間に飲酒すると、痛みが増す可能性があります。
仕事上飲酒を避けるのが難しい場合は、事前に医師へ相談しましょう。
激しい運動は控える
激しい運動はしばらく控え、医師の許可が出てから開始しましょう。ジョキング等の軽い運動は、1週間程度控えます。運動をしていなくても、仕事上歩くことや立っていることが多い場合は、数日間休むことをおすすめします。重いものを運ぶのも、できるだけ控えましょう。
スポーツインストラクターの仕事をしている方など、日常的に激しい運動をする場合は、事前に医師に相談しましょう。
薬を忘れずに飲む
感染症予防等のために、飲み薬が処方されます。忘れずに服用しましょう。自己判断で薬の服用をやめず、指定された日数分の服用を続けましょう。
必ず検診に行く
ほとんどの病院で、中絶手術後に検診の機会を設けています。必ず検診には行きましょう。「これ以上仕事を休めない」などの理由で検診を受けないのは、絶対にNGです。
次回の生理はいつくる?
中絶手術後はホルモンバランスが乱れていて、数ヶ月かけて元の状態に戻ります。次回の生理がくるまでには、個人差がありますが1〜2ヶ月程度かかります。もともと生理不順がある人は、生理が回復するまでに時間がかかることがあります。生理が始まる時期を予測できない為、いつ生理が始まってもいいように、生理用品を持ち歩きましょう。
従来の生理から、経血の量や見た目が変化していることもあります。生理が数ヶ月経ってもこない場合や、経血の量や見た目が明らかにおかしい場合は、中絶を行なった病院へ相談しましょう。
中絶手術後の性行為について
手術直後は性行為を避けて、体調が回復するのを待ちましょう。術後の検診で許可が出てから、性行為を行いましょう。
中絶手術後は、手術直後から妊娠する可能性があります。中絶の直後であっても、避妊が必要です。避妊をしたい場合は、低用量ピルや避妊リングを使用しての避妊をおすすめします。
ちなみに、多くの人が避妊目的で使用するコンドームは、避妊率100%ではありません。正しく使用した場合の避妊率(1年間使用を続けて避妊できる確率)は98%、途中で破れたり外れたりすることも想定した場合の避妊率は85%であり、決して安心できる数値ではありません。避妊率が高い避妊方法を選択しましょう。
低用量ピル
低用量ピルは、女性ホルモンが含まれているお薬で、毎日一定の時間に服用するだけで避妊効果を得られます。飲み忘れがない場合の避妊率は99.7%であり、コンドームと比べると非常に高い確率で避妊できます。
費用は1ヶ月(28日分)で3000円程度です。ジェネリック医薬品を選択すると、1日100円以下の出費になります。望まない妊娠をして、再度中絶手術を行うことを考えると、1日100円以下の負担で避妊できることはコスパが良いと考えられます。
ただし性感染症の予防はできないので、低用量ピルを飲んでいてもコンドームを使用しましょう。低用量ピルとコンドームを併用すると、さらに高い避妊効果を得られます。
中絶手術後に低用量ピルを服用すると、中絶手術によって崩れたホルモンバランスを改善して人工的に月経周期を回復させたり、早く子宮内膜も回復しやすくなるという効果もあります。
低用量ピルについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事もお読みください。

避妊リング
数年間(5年以上)にわたって避妊したい方、または今後妊娠を全く希望していない方には、避妊リングの使用がおすすめです。現在はT字型のものが主流ですが、以前はリング型のものが主流だったために、現在でも「避妊リング」とよばれることが多いです。
初期費用がある程度必要になり、装着時に35000円程度必要です。また抜去の際も15000円程度必要です。しかし5年以上の装着が可能なため、長期間避妊を希望する場合はコスパが良い方法です。
費用がある程度必要なことや、装着・抜去のどちらも、病院に行き医師に行ってもらう必要があるという理由から、短期間のみ避妊したい場合には向いていません。短期間のみ避妊したい場合は、低用量ピルを使用しましょう。
避妊リングを使用した場合の避妊率は99%以上ですが、リングの種類により少し避妊率が異なり、低用量ピルの避妊率に少し劣るものもあります。避妊リングにも、性感染症の予防効果はありません。性感染症の予防には、コンドームを併用しましょう。
避妊リングについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事もお読みください。

まとめ
中絶手術を行なった後は、術後の過ごし方に気を配りましょう。中絶手術は、身体への負担が少ないと言われている時期であっても、身体に負担をかけています。手術後は、身体の回復を一番に考えて、無理な行動は控えましょう。
複数回中絶を繰り返す人も、中にはいます。どんな理由であっても、避妊は精神的に辛いものです。中絶を繰り返さないように、避妊対策をしっかり行いましょう。